※この記事は 野球応援 Advent Calendar 2013の十五日目となります。
プロ経験者が高校などで指導する資格を回復するためのアマチュア側の研修会が13日に開かれました。
元広島監督の古葉氏(東京国際大監督)や元ジャイアンツの仁志氏、元ライオンズの石毛氏などが受講したそうです。
元プロの高校野球指導者といえば、代表的な方は、来春センバツの出場が有力視されている池田の故蔦監督でしょうか。
ちなみに、蔦監督が就任した頃は、まだプロとアマの垣根はありませんでした。
しかし、1961年に対立が勃発。
その後、84年にようやく元プロでも高校教諭として10年以上在職すれば復帰OKとされました。
そして、その制限は少しずつ短くなり、ついに今年、在職年数の制限がなくなりました。
教免がなくても、プロ側とアマ側の研修を受けて資格を得れば監督になれるようになったわけで、それまでに指導者となっている方々含め、元プロの名監督がこれからどれだけ出てくるのか注目ですね。
ところで、今回は、この話にも少し絡んだ、海の向こう、アメリカの映画の話でもしようと思います。
『オールド・ルーキー』
ディズニー映画のビッグ2といえば、『クール・ランニング』と『オールド・ルーキー』でしょう。
しかし、東京ディズニーランドにはボブスレーができる施設もなければ、野球場もありません。
ですから、これらの実話ベースの物語はきっとビッグ2ではないのでしょうが、今回はこのうち、『オールド・ルーキー』(デニス・クエイド主演)の話をします。
原題は『The Rookie』。
邦題でオールドがつけられちゃったわけですが、元マイナーリーガーが、長年のブランクを経て晴れの舞台に登場するというお話ですね(以下、雑なネタバレ含みます)。
みなさんのなかにもご覧になった方が多いと思います。
映画のモデルはジム・モリス投手。
1983年にブルワーズから一巡目指名されて入団するも、5年後、メジャーのマウンドに上がることなく、ケガで引退してしまいます。
彼は引退後、高校教師となり、理科を教えるかたわら、高校の野球チームでコーチ(日本でいう監督ですね)をしていました。
冒頭で触れたような、元プロ選手が高校野球の指導をしているというケースにあたるわけです。
もちろん、日本のような指導制限もなかったのでしょうね。
このチームの選手達とジムは、ある約束をします。
それは、チームが地区大会で優勝すればプロテストを受けるというもの。
で、選手達は見事に優勝しちゃうんですね。
映画では長年弱小チームだったと描かれていましたが、本当はどうだったんでしょうか。
やはり、指導もよかったのでしょうか。
そうして、選手達との約束通り、ジムはプロテストを受けまるわけですが、昔よりも速い球を投げるようになっており、デビルレイズのテストに合格。
現役に復帰することになります。
このとき、実に35歳。
当然、マイナーからのスタートでした。
しかし、ついには、若かりし頃に成し遂げられなかったメジャーのマウンドにもあがることになります。
まさに映画のようなお話を描いた映画なんですね。
日本で言うと、蔦監督が池田を優勝させたあと、現役に復帰するようなものです。
いや、蔦さんは初優勝時まで長い道のりがあり、けっこうお年を召されてたので、さすがに現役復帰は無理だったでしょうか……。
それに、アメリカは甲子園のような全国大会はなく、地区大会の優勝ですし……。
いずれにせよ、35歳で現役復帰し、メジャーのマウンドを踏めるなんて、実に羨ましい。
私も今35歳なのですが、できることならば復帰したい……そんな夢を見てしまう映画ですね。
いや、私なんて復帰するもなにも始まってすらいないわけですし、復帰するまでの苦悩や現実の厳しさも伝わる映画なのではありますが……。
ああそうそう、応援の話を忘れていました。
お揃いのユニフォーム
ジムには奥さんと小さな子どもたちがいて、特に印象的なのが長男との触れ合いです。
映画では、高校生達の試合も描かれるのですが、ジムが率いるチームの試合で長男もベンチに入り、父や高校生とお揃いのユニフォームを着て応援しているんです。
これがまたかわいいんですよね。
もうね、プロテストを受ける前から、グッとくるんです。
私も息子が生まれたら、ぜひ草野球の試合に連れて行きたいものです。
「父ちゃん、恥ずかしいから野球やめてくれ!」とか言われるのでしょう。
また、日米で応援のスタイルは異なれど、甲子園や地区予選でも、選手のお兄ちゃんとかとお揃いのユニフォームを着てスタンドから応援するちびっ子がいますよね。
あるいは、同じユニフォームではなくても、選手が育った少年野球チームがユニフォーム姿で応援している姿はよく見られます。
そういう光景を見ると、なんとなく微笑ましくなってしまいます。
有名なところでは、神奈川の明訓みたいに、選手の妹が応援団長というケースもありますね……。
『さよならゲーム』
ハリウッド映画に加え、強引にドカベンの話を出した以上、ハリウッド界における水島先生ことケビン・コスナーについても触れないといけません。
昔、大学でアメリカ人の先生が講義の一環として『さよならゲーム』を見せてくれたことがありました。
ケビン(ベテラン捕手)とティム・ロビンス(新人投手)がバッテリーを組む映画ですね。
野球映画を鑑賞させるなんて、いい人に違いない! とひと握りの方は思ったかもしれませんが、この先生、夏休み明けに突然来なくなったのです。
まさしく、さよならゲーム。
先生の心境としては『ショーシャンクの空に』のティム・ロビンスのほうが近かったのかもしれませんね……。
そんなことをふと思い出したのでした。
どうでもよい話題でしたね。
『2番目のキス』
また、この際、私の両手の指で数えられるぐらいしかない映画の知識をぶちまけると、野球モノでは熱狂的なレッドソックスファンのダメ男が主役の『2番目のキス』もあります。
まあ、そもそも『さよならゲーム』は本当にどうでもよくて、『オールド・ルーキー』とこの『2番目のキス』について話をしたかったのです。
この『2番目のキス』、原題は『Fever Pitch』なのに、まったく解せない邦題のセンスなんですが、原題からわかるとおり、元々はイギリス人作家ニック・ホーンビーによる同名の自伝的小説で、サッカーのアーセナルファンが主役です。
ご当地イギリスではサッカーファンのままコリン・ファース主演で映画化(小説、映画ともに邦題は『ぼくのプレミアライフ』)されています(私はこちらの映画は未見です)。
しかし、アメリカ版はリメイクするにあたって「サッカーなんか主題にしてられっかよ!」と思ったのかどうなのか、野球の話にしてしまいました。
おそらくインドだとクリケットになりますね。
とにかく、『2番目のキス』は、レッドソックスにのめり込みすぎたファン(アラン・グリーンスパン)とその恋人(ドリュー・バリモア)の物語です。
応援にのめり込むことは幸せなのか、どうなのか。
それに付き合わされるパートナーはどう思っているのか。
実に考えさせられる内容でもあります。
まあ、さほど考えてないのではありますが。
だって、考えてもみてください!
高校野球は試合数が少ないですからね。
神宮や甲子園に一緒に行ってもらったからって、たぶん大丈夫なはず……。
また、この主人公の職業は原作では中学教師ですが、アメリカ版の映画では奇しくも『オールド・ルーキー』のジムと同じ高校教師!
みなさんだったら、メジャーへの夢を再び追いかける高校教師とメジャーのチームに夢を託す高校教師、そして、桜井幸子と駆け落ちする高校教師、どれを選びますか。
悩むところですが、私は『オールド・ルーキー』のジム・モリスかなあ。
でも、『二番目のキス』のように、ひとつのチームの応援にのめり込むのはそれはそれで楽しいですよね。
ただ、ニック・ホーンビー作品なら、『アバウト・ア・ボーイ』のヒュー・グラント演じる主人公(父親の遺産で生きるダメ男)がいちばんいいかな……。
ちなみに、『2番目のキス』では、本物のレッドソックスの試合映像が使われているので、迫力は満点です。
デジャヴ
そういえば、レッドソックスは今年、見事ワールドシリーズを制覇。
上原投手とお揃いのユニフォームを着たご子息も話題になりましたね。
やはり、なんというのでしょう、微笑ましいものがあります。
私も息子が生まれたら、ぜひ草野球の試合に連れて行きたいものです。
「父ちゃん、恥ずかしいから野球やめてくれ!」とか言われるのでしょう。
ところで、甲子園や地区予選でも、お兄ちゃんを同じユニフォームで……(以下略)。
まとめ
最後になりましたが、今回の記事をまとめると、野球にも、いろんな関わり方があるということですね。
そのなかで、プロ経験者が学生の指導に関わりやすくなるというのは、いいことだと思います。
甲子園を目指し、将来はプロ野球選手、メジャーリーガー、またはファン、さらには草野球選手、、あるいは指導者といった感じで、…立場は違えど、一生野球を愛する選手を育成していってほしいですね。
蛇足
と、無理矢理まとめたところで、さらに蛇足を。
『Fever Pitch』はアメリカでリメイクされる際に野球になりましたが、スコットランド出身でサッカー好きのバンドにもかかわらず、コマツでおなじみのマイク・ピアッツァをとりあげた曲を歌っているバンドがいるのです。
では、お聞きください、本日の高校野球応援でブラバンに演奏してほしい1曲(あるいは来年後期の朝ドラ『マッサン』の主題歌にしてほしい1曲)。
ベル&セバスチャン「ピアッツァ、ニューヨークのキャッチャー」
次回からは、800字以内にまとめようと思います。